紅海迂回後の航路別運賃指数を確認する

喜望峰ルートが定着?長引く紅海迂回問題で輸送運賃はどうなったのか

2023年12月末より続いている紅海迂回問題ですが、その間の運賃指数はどのような推移を見せているのでしょうか?
今回は、日本海事センターのHPで公開されている英国Drewry社のCFRI (Container Freight Rate Insight) のデータを基に、2020年から2024年10月までのコンテナ運賃指数の推移をグラフ化して確認します。

CFRIは、コンテナ輸送における主要航路の運賃動向を示す指標であり、業界全体の動向を把握する重要なデータです。OSニュースでも今年3月にも一度取り上げていますので、前回の記事のリンクを参考資料として提示しておきます。

前回の記事)コロナ禍、紅海迂回問題時のコンテナ運賃の動向を振り返る

横浜港→ロッテルダム、NY等の運賃指数の推移

まず、主要航路のコンテナ運賃動向から、紅海ルートにあたる横浜港→ロッテルダムの運賃指数(※単位はUS$/40ft)の推移をグラフで確認します。

    

次に、パナマ運河経由となる横浜港→ニューヨーク(NY)の運賃指数の推移をグラフにします。

    

最後に、比較参考用として横浜港→ロサンゼルスの運賃指数の推移をグラフにまとめます。

    

3つの航路の運賃指数を比較してみると、年間を通じた増減の傾向は非常に似通っており、特定の航路だけが独自に大きく変動するということはありません。

やはり特筆するのは横浜港→ロッテルダム2024年の1月と2月でしょう。
横浜港→ロッテルダムの運賃指数がこの時期に前年比をすでに上回っているのは、紅海迂回問題の影響が大きいと考えられます。一方、横浜港→NYの運賃指数は3月から、横浜港→ロサンゼルスの運賃指数は4月から前年比を上回る推移を見せています。
月ごとの若干のズレはあるものの、年間全体で見れば、パナマ運河の運行制限や東海岸での労使交渉の懸念といった要因が運賃に与えた影響は限定的だったようです。
特に、東海岸では10月1日から3日にかけてストライキが行われましたが、その影響も運賃指数にはほとんど反映されていないように見受けられます。

また、3つの航路すべてにおいて6月に大きな上昇が見られますが、これは為替レートが大きく円安にシフトしたことが主因でしょう。一時は1ドル=161円に達したものの、8月・9月には140円台まで回復し、10月以降は再び150円台へ戻っています。為替動向が大きな要因として機能していることから、今後も為替レートに応じて運賃指数が変動する可能性が高いと考えられます。

以上となります。
CFRIのデータは引き続き定期的にレポートします。

※大谷シッピングでは、アフリカや欧州への海上輸送も積極的に取り扱っています。多数の実績がありますので、ご入用の際はぜひお問い合わせください。