中国製EVは関税100%増!! 米の対中政策が物流へ与える影響は?
301条関税見直しで中国製EVなど大幅引き上げを発表!
2024年5月14日、米国のバイデン大統領が「中国製のEV(電気自動車)に100%の関税をかける」と発表しました。具体的には、2024年8月1日より現在の25%から100%に引き上げるとしており、今後両国の関係が大幅に改善されなければ、このまま100%の関税がかけられるようです。
この対中追加関税の政策は、トランプ政権時代の2018年から段階的に追加課税しているもので、EVだけでなく、太陽電池や半導体などいくつかの品目で大幅な追加関税が予定されているようです。
今回は、米国の対中追加関税について解説します。
EVだけじゃない25%以上の関税がかけられる品目
ジェトロのWEBページで解説されている内容によると、今回の追加関税で大幅に追加関税があるのはEV以外にも以下のような品目があるようです。
品目 | 現行の関税率 | 引き上げ後の関税率 | 引き上げ時期 |
EV(電動自動車) | 25% | 100% | 2024年8月1日 |
太陽電池 | 25% | 50% | 2024年8月1日 |
医療製品(注射器・注射針) | 0% | 50% | 2024年8月1日 |
半導体 | 25% | 50% | 2025年1月1日 |
鉄鋼・アルミニウム | 0~7.5% | 25% | 2024年8月1日 |
バッテリー(EV用リチウムイオンバッテリー) | 7.5% | 25% | 2024年8月1日 |
引き上げ率をみるとEVが注目されがちですが、太陽電池や医療製品、半導体についても今後50%の関税となると中国にとってはかなりの痛手であると考えられます。
駆け込み需要でアジア北米間のコンテナ取扱量は増加するのか
この関税の引き上げが施行されるのは2024年8月1日(半導体については2025年1月1日)とされているので、それまでの間にいわゆる「駆け込み需要」があるのでしょうか?それとも、現状すでに横行しているメキシコ経由でアメリカに輸出するという方式が取られるため、北米のコンテナ取扱量はさほど影響がないのでしょうか。
現状の5月までのロサンゼルス港のコンテナ取扱量は以下のとおりです。
グラフのとおりですが、今年のロス港のコンテナ取扱量を見る限り、「駆け込み需要」という雰囲気はみられません。 まだ8月まで期間があるのでこれから伸びてくるのか、あるいはメキシコやベトナム経由での輸出を選択する傾向にあるのでしょうか。または、アメリカ市場からの撤退を検討し、EVや太陽電池を日本市場に供給しようとしているのかもしれません。
中国製EVに関しては、欧州も最大で38.1%の追加関税を課すと発表しており、米中間や欧州中国間の関係も悪化しており、BRICS内での取引が増加する可能性もあります。
いずれにしても、2024年8月1日以降の動向に注目です。 今後も定期的にロス港のコンテナ取扱量と合わせてレポートしていきます。