コロナ禍、紅海迂回問題時のコンテナ運賃の動向を振り返る

パナマ、スエズの二大運河航行問題で運賃はどうなる?

2021年にコロナ禍の影響や労働者不足やコンテナ不足等でコンテナ運賃は著しく上昇していましたが、2022年以降は落ち着きを取り戻しています。
ただし、2023年夏以降の水不足によるパナマ運河の航行制限や年末から続いている紅海迂回問題など、運賃に影響を与えそうな事象が起こっているのも事実です。

今回は英国のDrewry社が公開しているCFRI(Container Freight Rate Insight)データから2020年から2024年1月までのコンテナ運賃指数の推移をグラフにして確認します。

横浜港→ロッテルダム、NY等の運賃指数の推移

まずは主要航路コンテナ運賃動向のうち紅海ルートとなる横浜港→ロッテルダムの運賃指数(※単位はUS$/40ft)の推移をグラフにします。

    

次に主要航路コンテナ運賃動向のうちパナマ運河経由となる横浜港→NYの運賃指数の推移をグラフにします。

    

最後に比較参考用として横浜港→ロサンゼルスの運賃指数の推移もグラフにします。

    

3つのグラフを比べてみると、共通した推移になっているのは2021年と2022年の運賃の推移です。特に2021年6月に急激に運賃が上昇しています。
これはコロナ禍の人手不足による港の混雑と、コンテナ不足からくるスペース不足が主な要因とされています。
コンテナ不足については2019年に新造コンテナ生産量が激減しており、2020年以降はコロナ禍となり生産量が落ちたことから、巣篭もり需要が始まった後もしばらくはコンテナが足りないという状況になっていたようです。
グラフをみると2022年5月頃からは下落傾向に転じているのでこの時期にコンテナ不足が解消されたということだと考えられます。

また、2024年1月と2月の運賃指数に注目してみると、「横浜港→ロッテルダム」の運賃指数については前年同月比で大幅に上方していることわかります。
紅海迂回が本格化した影響がでていると考えられます。

対して、「横浜→NY」「横浜港→ロサンゼルス」の2024年1月、2月の運賃指数は前年同月比で減少しており、パナマ運河の運行制限については運賃に影響するような障害にはなっていないということが考えられます。

紅海ルート、パナマ運河ルートが正常化するのはいつごろになるのでしょうか。
今後も運賃指数について取り上げていきます。