労使交渉がようやく決着!米西海岸港湾の物流はどうなる?
労働協約失効から約1年後にようやく「暫定合意」発表!
昨年から続いていたアメリカ西海岸の労使交渉が、2023年6月14日についに太平洋海事協会(PMA)と国際港湾倉庫労働者組合(ILWU)の両者で暫定合意に達したと発表されました。
労働協約は本来、失効する前に交渉が行われ、失効と同時に新たな協定が締結される流れですが、事前交渉が難航した結果、新協約の合意に至らないまま、2022年7月1日に協約は失効しました。その後も交渉は続き、約1年後の2023年6月にようやく両者で暫定合意に至ったとされています。
ただし、新たな労働協約の正式な発効にはいくつかの手続きが必要であり、2023年秋頃になると予想されています。それにより、一旦労使交渉による懸念は解消され、労働協約の期間である6年間は、米西海岸の物流がスムーズに進むことが期待されます。
では、労使交渉が難航していた期間のコンテナ取扱量はどうだったのでしょうか?
米西海岸の主要港であるロサンゼルス港のコンテナ取扱量の月別データは以下のとおりです。
労使期間中のロサンゼルス港のコンテナ取扱量について
ロサンゼルス港のHPで公開している2023年5月までの月別コンテナ取扱量をグラフにすると以下のようになります。
2022年から2023年5月までのロサンゼルス港のコンテナ取扱量を見ると、2022年8月から取扱量が減少していき、2023年2月まで落ち込み、そこから徐々に回復していますが、昨年比だとまだ少ないという感じです。
西海岸の労働協約が失効したのが2022年7月1日なので、それ以降は港が動きが制限されていためにコンテナ取扱量が減少しているようにも見えるデータの推移となっております。
実際は昨年夏からのコンテナ取扱量が減った理由としては、長引くインフレによる米全体の消費低迷により港に貨物が滞留したのと、対中政策の影響が大きいのではないかとされていますが、「暫定合意」が発表された7月以降のコンテナ取扱量が伸びるようであれば、労使交渉による弊害も大きかったのではないかと考えられます。
いずれにしても今回の労使交渉は長引いたといえ、大きなストライキも起こらずこのまま締結されそうなのはよいニュースです。このまま米西海岸の物流は回復するのか、やはり対中政策による影響が大きく低迷を続けるのか、今年の夏の注目ポイントになりそうです。