ロサンゼルス港の2月のコンテナ取扱量激減。いよいよ米物流は東海岸へシフトか!?

西海岸と東海岸のコンテナ取扱量を比較する

アメリカの主要なコンテナ港と言えば西海岸のロサンゼルス港やロングビーチ港が有名ですが、2022年秋よりロサンゼルス港のコンテナ取扱量は著しく下落しています。2022年12月は回復傾向にありましたが、翌年2月の速報値では前年同月比43%減という異常値(速報値のため、後に修正される可能性あり)となっており、いよいよ「西海岸離れ」とも言えるほど激減しております。

今回は西海岸ロサンゼルス港と東海岸ニューヨーク港&ニュージャージー港の月別コンテナ取扱量を比較しながら、今後のアメリカの物流を推測したいと考えております。

ロサンゼルス港のコンテナ取扱量2023.2まで

ロサンゼルス港のHPで公開している2023年2月までの月別コンテナ取扱量をグラフにすると以下のようになります。

    

ロサンゼルス港の2月の実績を過去5年のグラフと比較してみると、本格的にコロナ禍となった2020年は著しく減少していますが、そもそも2月は1月に比べ日数が少ないことを鑑みると基本的には2月は1月と同水準であることがわかります。
対して2023年の2月は1月から33%減で、前年同月比だと43%減となっております。

昨年秋から減少傾向にある要因は米インフレによる消費低下、労使交渉の懸念や対中政策による西海岸離れ等が考えられます。

ニューヨーク港&ニュージャージ港のコンテナ取扱量2023.2まで

東海岸の方のコンテナ取扱量も見てみましょう。ニューヨーク港&ニュージャージ港(NY&NJ港)のHPで公開している月別コンテナ取扱量をグラフにすると以下のようになります。

    

こちらも2月は前月比11.5%減、前年同月比で25%減と、ロサンゼルス港よりひどくはありませんが、減少傾向です。
ちなみに、NY&NJ港のHPでは「Total Rail Lifts」(鉄道輸送によるコンテナ取扱量)も発表されており、その数値も2月は同じように減少しているので、例えば「倉庫にいっぱいコンテナ残ってるから、新たな輸入が少ない」というような感じでもなさそうです。

これらの数字だけみると単純に「西海岸から東海岸へシフトしている」というような感じではなく、長引くインフレによる米全体の消費低下、それに加えて西海岸は対中政策の影響等がプラスされたという感じではないかと考えられます。

また今後の世界全体の物流でみると、中東の期待値が上がっており、欧州アジア間が中東経由で盛り上がれば「北米離れ」が加速する可能性もありそうです。
(実際に中東航路が安定するのはだいぶ先になりそうですが、、、)

いずれにしても事実としてはロサンゼルス港の2月のコンテナ取扱量は2020年を下回り、近年では最低値となりました。
2020年は夏頃から巣篭もり需要が始まりましたが、2023年も同じように反転するのか、それとも下降をたどるのか。今後も米西海岸、東海岸のコンテナ取扱量に注目したいと思います。