海上輸送運賃の高騰はいつまで続くのか?
港混雑!? 海上輸送運賃の高騰はなぜ起こったのか。
2022年6月、依然として海上輸送運賃は高騰したままで、海運会社は軒並み高収益を維持し、海運業界はバブル到来と言われています。
そもそもなぜ、この価格高騰は起こったのでしょうか。それはコロナ禍による世界的な「巣ごもり需要」によって貨物が増えたという単純な話ではなく、いくつもの要素が重なった結果だとされています。
2022年3月に国土交通省が発表した「国際コンテナ輸送を巡る最近の状況」や報道を見る限り、一連の価格高騰の流れは以下だと考えられます。
■海上輸送運賃の高騰の流れ
2019年 | 米中貿易摩擦の先行き懸念により、新規コンテナ製造量が低下する。 |
2020年 | コロナ禍で世界的に自粛モードとなりコンテナ荷動きは低迷。 巣ごもり需要となり、コンテナ荷動きは急拡大。 コロナ禍の働き手不足もあり、港は混雑。貨物滞留や運行遅延が発生。 世界的にスペースタイトとなり海上輸送運賃が高騰。 |
2021年 | 貨物滞留、運行遅延は改善されず常態化。 円安で輸出気運も高まり、引き続き需給逼迫。海上輸送運賃も高騰維持。 |
2022年 | ウクライナ危機によるロシア向け貨物規制。港はさらに混雑。 |
ざっくり言えば「港がずっと渋滞していて荷物運ぶの難しいから運賃高いよ」ということなのですが、じゃあこの「港の渋滞」はいつ緩和するのでしょうか?
海上輸送運賃の高騰はいつまで続く?
今回の運賃高騰のきっかけとされる「コンテナ不足」は解消されつつあります。2019年に低下していた新規コンテナの製造も堅調のようです。また各国で港の混雑緩和のための取り組みもなされているようです。
ただし、専門家は「夏頃まで全体の状況はそれほど改善しない」という意見も多いようで、もうしばらくはスペースタイトな状況が続くと言えるでしょう。
また日本からの輸送の場合は「円安」の影響も大きく、輸送運賃が高くても輸出で儲かるうちは需給逼迫は続きそうだと考えると、夏以降も運賃高騰の状態は続きそうな気がします。
現状の円安がさらに加速するのか、秋には円高にシフトするのか、その辺が海上輸送運賃改善のポイントになるでしょう。
※参考資料
国際コンテナ輸送を巡る最近の状況
https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001466982.pdf