インドの主要コンテナ港と物流について

「人が増えると物流も増える」を体現したインド

国連人口基金(UNFPA)の発表によると、2023年の夏頃にはインドの人口が14億2860万人となり、中国を抜き世界一となるようです。
そうなると気になるのは「物流」。
これまではコンテナ取扱量の上位は中国の港が占めていましたが、「人が増えれば物流も増える」ということで、今後インドの物流がどうなるのかが注目されています。
そんなわけで、今回はインドの主要港のコンテナ取扱量について調べてみました。

近年、躍進を遂げたムンドラ港と巻き返しを図るナバシェバ港(ジャワハルラール・ネルー港)

日本湾岸協会が発表している世界のコンテナ取扱量上位100港のデータとみると、インドの近年のコンテナ主要港はムンドラ港、ナバシェバ港(ジャワハルラール・ネルー港)、チェンナイ港の3港であることがわかります。
この3港の2009年から2021年までのデータをグラフにすると以下のようになります。
比較参考用に同期間の東京港のデータも載せておきます。

  
  

※その年のコンテナ取扱量が100位以下の場合は取扱量が0としています。(実際にコンテナ取扱量がゼロというわけではありません)


インド主要港の年間コンテナ取扱個数推移をみると、2009年当時は世界の主要港の100位以下だったムンドラ港ですが、徐々に躍進し2019年にはナバシェバ港を抜いて、現在はインド国内で最大のコンテナ港となっています。

ちなみにムンドラ港の年間コンテナ取扱量ですが、始めて100位以内に入った2010年が89位だったのに対し、2021年には27位となっており、その躍進ぶりが顕著に数字に表れています。

主要港のひとつであるチェンナイ港のコンテナ取扱量は推移に変化はありませんが、世界全体のコンテナ取扱量が増加していることもあり、2017年以降はランク外となっているようです。

現在はムンドラ港に抜かれてしまったナバシェバ港ですが、2023年1月のJICAの発表によると、アジア開発銀行(ADB)がアジアインフラパートナーシップ信託基金を一部活用して、1億3,100万米ドル(約170億円)の融資を行い、ジャワハルラル・ネルー港を改修するとされています。
この改修は中国から離れつつあるサプライチェーンの受け皿となる施作と見られており、今後の物流増が期待されています。

今後もムンドラ港に期待!グジャラート州に外国企業の進出増加

グジャラート州は、近年急成長を遂げたムンドラ港を中心に、物流産業においてますます注目を集めています。英国と台湾の合弁会社が設立する半導体やディスプレイの工場、そして日本企業による新しい試薬・検査機器の工場が建設が発表されており、外国企業がグジャラート州に進出する意欲は高まっています。

またグジャラート州には、ムンドラ港のほかにピパバブ港やハジラ港もコンテナ港として整備され、今後の躍進が期待されています。

南アジアに位置するインドは、アジアと中東アフリカ、欧州を結ぶ航路の要所であり、地政学的な観点からも物流インフラの整備が進めば、今以上にコンテナ取扱量が増加することが予想されます。
物流の中心が中国からインド、中東へと移行していくのか、それともアメリカが盛り返すのか、今後も世界のコンテナ取扱量の動向に注目したいと思います。