2024年第1四半期のロス港のコンテナ取扱量は前年比増傾向も・・

対中政策で停滞中のロス港のコンテナ取扱量について

定期的にレポートされている米西海岸のロサンゼルス港のコンテナ取扱量ですが、今年は月ベースでは昨年より増加しているというニュースが流れていますが、実際はどうだったのでしょうか。

今回はロス港の公式HPで2024年3月までのデータが公開されたので、グラフにして第1四半期の動向を過去の推移と合わせて確認します。

2024第1四半期は前年比増も2022年に及ばず

以下、ロサンゼルス港の月別外貿コンテナ取扱個数のグラフです。

    

グラフを見ると、2024年の第1四半期は昨年よりもコンテナ取扱量が増加していることがわかります。 ただし、そもそも2023年の米西海岸は労使交渉による港の混雑や対中関係の悪化による中国からの貨物の減少でコンテナ取扱量は大きく下落していたので、増加したというよりは平常時に戻りつつあるというイメージでしょう。 実際に2021年や2022年の第1四半期と比べると、今期はその水準には達していないことがわかります。

なお、3月にはメキシコ行きの中国貨物が激増しているというニュースもあり、関税回避のために直接米国とは取引をせずに、メキシコを経由して、メキシコ、米国間でトラック輸送という手段にでているとされています。

今後のロス港のコンテナ取扱量については、米国の対中政策の緩和等がない限り、大幅な増加は考えにくく、現状の水準で落ち着くのではと考えられます。 中国にとってはBRICS諸国との取引が堅調に拡大しているため、無理に対米関係を改善することはせず、「脱米国」を進める可能性もあり、そうなるとロス港のコンテナ取扱量はさらに減少という流れになりそうです。

※2024年5月14日のニュースによるとバイデン大統領が「中国製電気自動車の関税を現行の25%から100%に引き上げする」と宣言したとしており、ますます中国の「脱米国」が進みそうです。

ロス港については今後とも定期的にレポートします。