コンテナ港効率性評価(CPPI)上位20港の経済圏分類 2022

コンテナ港効率性評価(CPPI)とは

コンテナ港効率性評価(CPPI:Container Port Performance Index)とは、寄港船の総滞在時間などからコンテナ港のパフォーマンス(効率性)を評価する指標で、The World Bankという国際開発金融機関が毎年ランキングを発表しています。

このランキングで上位に位置するコンテナ港は、船舶のスケジュール通りの運航が期待され、貨物の遅延が最小限に抑えられるため、運送業者や輸出入業者にとって信頼できる港とされています。

今回はこのCPPIの上位20のコンテナ港とそれぞれの経済圏で分類し、物流において、G7とBRICSの経済圏におけるシェアを確認したいと思います。

CPPIランキング上位港をG7とBRICSで分類してみると・・

まず主要な経済圏をリストアップします。但し、G20はBRICSの加盟国と重複するため今回は区分しません。同じ理由でUSMCA、MENA、TPPについても一部区分しません。

経済圏加盟国
G7日本、米国、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、カナダ
G20アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、カナダ、中国、フランス、ドイツ、インド、インドネシア、イタリア、日本、メキシコ、韓国、南アフリカ共和国、ロシア、サウジアラビア、トルコ、イギリス、EU
BRICSブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ
BRICS+アルゼンチン、エジプト、イラン、エチオピア、サウジアラビア、UAE
※2024年1月にBRICSに加盟予定
ASEANインドネシア、マレーシア、 タイ、フィリピン、シンガポール
ブルネイ、ベトナム、ラオス、ミャンマー、カンボジア
USMCA米国、メキシコ、カナダ
MENAUAE、イスラエル、イラン、エジプト、サウジアラビア、オマーン
TPPオーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、日本、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、シンガポール、米国、ベトナム

The World Bankが発表した2022年のCPPIの上位20港は以下となります。上記でリストアップした経済圏を適宜割り当てています。

RANKコンテナ港経済圏
1洋山深水港(Yangshan)中国BRICS
2サラーラ港(Salalah)オマーンMENA
3ハリファ港(Khalifa Port)UAEBRICS+
4タンジェ港(Tanger-Mediterranean)モロッコ-
5カルタヘナ港(Cartagena)コロンビア-
6タンジュン・ペラパス港(Tanjung Pelepas)マレーシアASEAN
7寧波港(Ningbo)中国BRICS
8ハマド港(Hamad)カタール-
9広州港(Guangzhou)中国BRICS
10ポートサイド(Port Said)エジプトBRICS+
11香港港(Hong Kong)中国(香港)BRICS
12カイメップ(Cai Mep)ベトナムASEAN
13蛇口港(Shekou)中国BRICS
14馬湾港(Mawan)中国BRICS
15横浜港(Yokohama)日本G7
16アルヘシラス(Algeciras)スペイン-
17キング・アブドラ港(King Abdullah Port)サウジアラビアBRICS+
18シンガポール港(Singapore)シンガポールASEAN
19ポソルハ港(Posorja)エクアドル-
20天津港(Tianjin)中国BRICS

上記のように、CPPIの上位20港が所属する経済圏を見ると、G7は15位の横浜港1港のみ、一方、BRICSは追加の加盟国を含めて合計10港、ASEAN加盟国は3港となっています。

もちろんCPPIで上位の港のコンテナ取扱量が多いという訳ではありません。近年世界最大のコンテナ取扱量を誇る上海港は2022年のCPPIでは215位となっております。コンテナ取扱量2位のシンガポール港はCPPIでは18位なので、CPPIとコンテナ取扱量に相関関係はありません。

とは言え、CPPIで上位ということは港の使い勝手が評価されているということなので今後のコンテナ取扱量が期待できると言えます。

そう考えると少なくても物流の面ではG7よりもBRICSの時代になりつつあることがわかるでしょう。

果たして、現状のようにG7とBRICSで対立関係のままなのか、日本も加盟しているTPPの拡大はあるのか。
今後も経済圏とコンテナ港の関係について注目していきます。